渡辺曜研究委員会

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大好真々子が常勝ヒロインではない10の理由

『通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?(以下、「おかすき」という表記に統一します)』の大好 真々子(おおすき ままこ)が常勝ヒロインであることを検証する記事です。

 

*また本記事では「おかすき」本編のネタバレを含む可能性があるため閲覧注意です。

mamako

↑画像は〈https://www.youtube.com/watch?v=1CzNUsYZ404〉より

【更新履歴表】

*2019年7月31日・初投稿

1. おかすきの大好真々子が常勝ヒロインであるべき10の理由

大好真々子が常勝ヒロインと思しき10の理由について、渡辺総研の見解を示します。

 

なお渡辺総研は、おかすきは基本的にアニメ本編しか視聴してないので、原作は読んでいません。ご容赦ください。

1-1. 若すぎる容姿

大好真々子は外見年齢が15歳であり、実年齢はママの秘密となっています。また実母である*1ため、義母ではないとのこといわゆる「これが経産婦だと…?」

若すぎる容姿はキャラとしての神秘性の担保しており、大好真々子というキャラをよりミステリアスな存在として際立たせています。

1-2. アナログハック

後述しますが、してますよねアナログハック?

常勝ヒロインにアナログハックはつきものです。

常勝ヒロインやアナログハックがわからない方は下記記事をご覧ください。

www.wtnbyou.com

1-3. キャラと母親ジェンダー像の重複

大好真々子(おおすき ままこ)にとって、「ママ」という呼び名はキャラクター個人を表す固有名詞であると同時に*2、一般名詞である2人称でもあります。

つまりキャラ個人と、母親というジェンダーロールが常に相対し、重複しているということです。

そもそも個人と社会的地位・役割が重複しない人は原則的には存在しないはずだが(個人であり学生、個人であり社会人、個人であり父親であるが、場面に応じて浮き沈みはしても完全に分離できないのと同じように)、真々子さんの場合は、いわゆるカッコつきの〈母親〉像として象徴的な描かれ方をしています。

 

つまり子供を愛し、情愛をもって包み込む存在、「母なる○○」の母を体現する存在として描かれており、たとえばワイズのホスト狂いの母親といった、いわゆる社会的要請から逸脱した母親像との対比構造が強調されている点からもそれは読み取れます。

 

正直真々子さんが若すぎるお母さんという設定だけなら渡辺総研の食指は微動だにせずですもんね。

1-4. ママ至上主義

「1-3. キャラと母親ジェンダー像の重複」と若干かぶりますが、ゲーム名「MMMMMORPG(仮)(ママの 、ママによる、ママのための、ママと、息子がもしくは娘が、大いに仲良くなるためのRPG)」からもわかる通り、この世界観において、ママは最強です。

常勝ヒロインに強さはつきものですが、世界がママの強さを担保しているという設定なので、強いのは当たり前ですよね。

また世界観や設定に粗雑な点があったとしても、「いやこれママのためのベータ版ゲームなので」という言い訳が使える点も強いですね。呆れるといいますか、作者の知略を感じます。

1-5. 異世界転生におけるアンチテーゼ

異世界転生の物語*3を、『現実から脱却し、第2の生をやり直す』と位置付けるのであれば、親の存在は現実を否応なしに思い起こさせる存在でもあります。それはTVアニメ第1話の大好真人(まさと)くんのセリフからもわかります。

大好真人青少年男子のためのファンタジーに親の存在は不要なんだよ、邪魔なんだよ!

TVアニメ『通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?』第1話「少年の壮大なる冒険が始まると思ってたら…え、どういうことだよこれ…。」より引用

大好真人くんがなにかゲームや異世界転生っぽいことをやると、真々子さんがゲームを知らない母親目線でそれらの行為やお約束を再解釈し直すという具合ですね子供からすれば鬱陶しいことこの上ないが、真人くんはマザコンだから別にいいのでは?*4。親と同伴で異世界転生なんて皮肉がきいてるなと思いました。こちらは渡辺総研がおかすきで唯一評価しているポイントだったりします。

1-6. 空きスペース

思いついたらなんか書きます。

2. おかすき・大好真々子への考察と疑問点

ここではおかすき・大好真々子についての気になる点や疑問点について述べていきます。

2-1. 論考1. アガペー:耳掃除が織りなす情愛行為

TVアニメ第3話「下着は防具。守備面積は大きめに。さもなくば息子が死ぬぞ!」では真々子さんが真人くんにお耳こちょこちょ(原文ママ、注:耳掃除のこと)するシーンがあります。

 

一見、仲睦まじい母親と息子の、微笑ましいシーンのようにも見えますが、これはおかすきの中でも1、2を争う重要なシーンであります。すなわち大好真々子が大好真人に対してアナログハックを仕掛けている典型的な場面だからです。

 

真人あのさ、母さんさ。こっちきてからちょっとはしゃぎすぎじゃないか?

真々子え、そっそうね?マー君と一緒に冒険できるからうれしくて

真人そうじゃなくて!うわついてるっていうかさ、勝手な事したりでしゃばったりとか、そういうの多くないか?

真々子そんなつもりは…

真人実際そうだろ!どこでなにしてても、母さんがしゃしゃり出てくるとか、どんな嫌がらせだよ…。もういるだけで迷惑っていうか

(中略)

真々子ごめんなさい。ごっ、ごめんなさいね。えとっ…どう謝っていいか…(目に涙を浮かべながら)

真人あぁ…いや

真々子お母さんもう勝手なことしないようにする。本当にごめんなさい

真人くっそ…!またやっちまった。自分の思い通りにならないからってすねて怒って、こんなのただの子供の駄々こねじゃないか!かっこ悪いな…。

真々子(正座し、膝元へ手招きしつつ)マー君、お耳こちょこちょ

TVアニメ『通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?』第3話「下着は防具。守備面積は大きめに。さもなくば息子が死ぬぞ!」より引用

上記の会話シーンからわかる通り、この場面においてお耳こちょこちょ(注:耳掃除のこと)とは大好親子の仲直りのためのきっかけとして描かれています。

問題なのはこれが真々子さんによる真人へのアナログハックとして機能している点です。

仮に常時に真々子さんが真人へ「お耳こちょこちょしましょ!」と言ったとしても、真人がこれを受け入れる可能性は低いでしょう。

たとえ真人がお耳こちょこちょのことを耳掃除のことだと瞬時に理解するくらいには、常日頃からお耳こちょこちょを受けていたとしても、「俺は自分で耳掃除なんてできないから」とのたまうくらいのマザコン野郎だったとしても、思春期真っ盛りの青少年男子が同年代女子2人(ワイズとポータ)に見守られながら、甘んじて母にお耳こちょこちょされる恥辱プレイを受け入れるとは考えづらいでしょう、平時であれば。

つまり、真人は母親にひどいことを言ってしまった直後というシチュエーションでなければ、お耳こちょこちょを受け入れることはありませんでした。言い換えれば、真々子は真人がお耳こちょこちょを受け入れざるを得ないタイミングを見計らって、人心掌握のためにこれを提案したことになります。これをアナログハックといわずして、なんというのでしょうか?

『BEATLESS』のレイシアはアラトが自分への疑念を抱いた際に、身体的接触等を用いて注意をそらしました(⇒「アナログハック」)。

『ラブライブ!サンシャイン!!』の渡辺曜は、他者において自分の方が千歌との距離が近いことを誇示するかのような行為が随所に見受けられました(⇒「渡辺マウンティング」)。

大好真々子の一連の行為を、上記事例をもとに当てはめるとすれば、古き時代から母が子供を懐柔しようとする行為であるとみなして、原初始原のアナログハック(通称「ママログハック」)とでも名付けられるでしょう。

アガペー、つまり神から人への愛は、見返りを求めない無償の愛であります。では母が子供に捧げる愛は無償なのでしょうか?

渡辺総研はその答えを持ちえませんが、少なくとも〈母は子供を無条件で愛すべきである〉という神話が存在することも事実でしょう。

その意味において、母の無償の愛というベールに包みこまれた上記行為は、もっとも美しく、また政治的なものであるといえるでしょう。

次章ではママログハックについて詳しく見ていきます。

2-2. 論考2.ママログハック:お母さんがお母さんだから~有償母愛~

ここでは真々子さんがママログハックを行使しているほかの例を見てみます。

真人どうして母さんまで一緒に来たのか詳しく説明してくれよ、ほら

真々子でも最初は事情を話さない方がいいですよって言われて…

真人つまり、何か知っているけど、俺には話さないんだな?なあ、母さん、ほんといい加減にしないと、親子の縁を切るぞ!

真々子(大粒の涙を流しながら)ごめんなさいね。お母さんね、何をどう説明していいのかよくわからないの。白瀬さんたちにもいろいろ事情があるみたいでどこまで話していいのかわからないの。でもね、お母さんはマー君をだますとか、マー君を傷つけるようなことをしようとしているわけじゃないの。それだけは信じて

真人あ、あぁ…

真々子マー君と一緒に冒険して、たくさんお話して一緒にいろんなことを頑張って仲良し親子になりたいなって。ただそう思って…

真人わかった!もうちゃんとわかったから!ばっちり理解したから!

真々子だからねマー君、親子の縁を切るなんて、そんな悲しいこと言わないで。お母さんね、生まれてから今までで聞いてきた言葉の中で、その言葉が一番つらい、一番悲しい。

真人(土下座して)母さん、ごめん!今のはつい言っちゃっただけで全然ほんとにそんなつもりはないから!だから…その…あの…」

真々子(真人の頭をなでつつ)お母さんね、お母さんのことを気遣ってくれるやさしいマー君が大好きよ。もういいから顔をあげて。こーら、話をする相手の顔をちゃんと見ないとだめでしょ。

真人…わかったよ

真々子お母さんはマー君と一緒に冒険したいわ。お母さんをマー君の仲間にしてくれる?

TVアニメ『通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?』第1話「少年の壮大なる冒険が始まると思ってたら…え、どういうことだよこれ…。」より引用

この場面でも、真人の失言とその負い目につけこむ形で自身を真人のパーティに入れろとの要求を通しているため、典型的なママログハックとみなすことができます。

 

TVアニメ第3話を参照しますと、真々子さんは「親子が終わることはないわ。親子は永遠に終わらない。親子には遺伝子とか家系図がどうだとかとはそういうこととはもっと別の、切っても切れないつながりがあるの。だから親子は永遠」という台詞を発しています。

 

もしも親子のつながりが切っても切れないものであると認識しているのであれば、真人の「親子の縁を切るぞ!」という発言にももっと冷静に対応できそうな気はします。もちろん息子である真人のことを本当に思っているからこそ、取り乱したとの見方もできますが、それにしてはあまりにも動揺しすぎであると感じられます。

 

ではなぜ真々子さんがここまで取り乱したのか。つまりそのような体を装うことで、自身が真人の仲間になるための言質をとる必要があったからだと考えられます。

 

第1話の上記シーンの前までは、真々子さんは息子の意に反してともにゲームの世界にやってきた「お節介焼きの鬱陶しい母」にほかなりませんでした。

 

MMMMMORPGの最終目標が、息子と母親が仲良くなることだとしても、それが達成されなければゲームの世界から出れなかったとしても、思春期真っ盛りで現実よりもゲームの世界に興味があるように見受けられる真人に対して、パーティを組まずに仲良しなれる可能性は低い。つまり真々子さんにとって、真人のパーティに入ることは必須条件であったことがわかります。

 

このような経緯を踏まえれば、真々子さんが真人に対して動揺したふりを見せ、負い目を負わせることで、自身の必須条件である真人のパーティ入りを果たしたのは非常に戦略的であったとみなすことができます。

 

また深読みをすれば、真人から失言を引き出すために、あえて真人がいらつくような発言を繰り返していた可能性も否定できません。これが事実であれば、真人が自分に抱いている感情を正確に理解し、かつどうすれば己にとって最大の利益が確保できるかを踏まえたうえで、冷徹に判断を下していたことになります。これこそが常勝ヒロインにふさわしい振舞いです。

また一連の行為をアナログハックと一括りにするのは若干乱暴であるため、渡辺総研は自身に都合の良い言動を引き出す行為、すなわち誘導尋問の形式をとったアナログハックのことを「パフォーマティブ・アクション」と呼称し、区別することがあります。

2-2. 論考3.  アノニマス:進歩なき親に子育ては程遠い

子供を育てると同時に、
自分たち自らを
進歩させないならば、

親は子供を立派に
育てることは出来ない。

〈アランの名言集〉より引用

引用元リンク:〈http://earth-words.org/archives/12096

上記の言葉はフランスの哲学者アランの言葉です。

つまり子育ては親育てでもあるみたいな話ですが、真々子さんはそこらへんどうなっているのか非常に気になるところです。

TVアニメ第3話ではワイズの母親が登場しました。それを踏まえますと、おそらくおかすきのストーリーラインとしてはいろいろなタイプのお母さんが登場して、「どんな母親がいるのか、どんな母親であるべきか」みたいな展開があるのではないかと予想しています。

その意味において、おかすきは極めるとジェンダー論みたいな話に持っていくこともできるかもしれません(?)

2-3. 論考4. 共依存:親離れと子離れと

大好真々子と大好真人を比べたとき、どちらがより依存しているかを考えたときに、おそらく真々子さんの方が真人に依存しているといいますか、親離れできていないみたいなところがあります(TVアニメ第1話~第3話を視聴した立場からの感想として)。

 

たぶんそんなことはないとは思うのですが、さきほどのアランの言葉を踏まえると、真々子さんは本当に真人のことを考えているのかわからなくなるときがあります。

 

いわば自分のために真人をそばにおいておくためなら、どんな手段でも取ることをいとわなそうな、そんな危うさすら感じます。WEBヤングエース版を参照すると、ワイズと交流を深める真人を慈愛に満ちた眼差しで見つめるカットなどありましたので、そっちベースなら問題ないですが、TVアニメ版だと母の牙を使ってむしろ妨害しかしてないのでちょっと心配です。

 

あとは真々子さんの父親の存在がキーポイントになるかとは思います。おそらく作品テーマ的に出番はないかと思われますが、真々子さんが真人の父親(真々子さんの旦那さん)をどのように思っているのか、あるいはなぜここまで真人を溺愛するようになったのかという経緯が気になりますね。

 

個人的には真人の父親にDV等の被害にあい、そのせいで真人を溺愛するようになったとかだと個人的には好みの設定ですね。しかしその場合には、常勝ヒロインではなくなってしまうので推奨はするが歓迎はしないみたいな感じですかね。このあたりは難しいところです*5

3. 提言:大好真々子が常勝ヒロインになるために

TVアニメ第1話~第3話までの間において、大好真々子が常勝ヒロインであることを否定する根拠はありません。

 

WEB漫画版だと、渡辺総研が指摘した真々子さんの不可解な点が若干(?)マイルドになっていますし、ワイズさんが正ヒロインっぽいし(?)、ポータさんのがむしろ常勝ヒロインっぽいし(?)、ともかくTVアニメ版とは異なる印象を受けます。

 

そのため上述した大好真々子の特徴や考察は、TVアニメ本編に依拠した内容となると考えられます。

 

願わくば渡辺曜の二の舞にならないでほしい。

www.wtnbyou.com

4. 本日の常勝ヒロイン総括とまとめ

大好真々子が常勝ヒロインであるかを考えたとき、常勝ヒロインには以下の要綱が大切であることがわかりました。

・神秘性(全容はわからないという底知れなさ、キャラとしての深み)

・解釈多重性(意味振幅が常に担保されている)

・戦略性(己の目的のために常に最善ルートを選択する)

4-1. 本日の常勝ヒロイン検定

2019年7月31日の時点において、レイシアの次に常勝ヒロイン性が感じられる。非常に高品質な常勝ヒロイン。暫定2位。

 

常勝ヒロイン番付

1位:レイシア(殿堂入り)

2位:大好真々子(今のところ非常に良い)

3位:渡辺曜(1期10話まではよかった)

5. 参考文献

  1. TVアニメ「通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?」公式サイト〈https://okaasan-online.com/
  2. 「通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?」|ヤングエースUP - 無料で漫画が読めるWebコミックサイト〈https://web-ace.jp/youngaceup/contents/1000048/
  3. "良かれ良かれ"で子供を壊す母の共通点5 他人と比較すれば子供はつぶれる:PRESIDENT Online - プレジデント〈https://president.jp/articles/-/24001

*1:TVアニメ第1話~第3話では確認できませんが、WEBエース版「第四章の三
理解のある母親でよかったなんて、ちっとも思ってねーし。③」によれば「実の息子のマー君です」という台詞があるため、実母である可能性が高い。

参照元:https://web-ace.jp/youngaceup/contents/1000048/episode/3661/

*2:正確には名前の一部

*3:正確にはゲームの世界にフルダイブするという話だったかと思いますが、おかすきを『ソードアートオンライン』と同系列の作品として語るのも違和感があります。趣旨としては異世界転生に近いかと思います。

*4:普段は"あー"とか"いー"しか言わなかったマー君が、こんな格好つけたことを言うなんて…!息子の新たな一面を発見しちゃったわ!」という台詞など(TVアニメ第1話「少年の壮大なる冒険が始まると思ってたら…え、どういうことだよこれ…。」より)、もはや煽り

*5:マジレスすると、お家の状況が経済的に安定はしてそうですし、今のところ真々子さんがお勤めっぽい印象もないので(専業主婦っぽい)、おそらく父親は海外出張が多くてめったに家に帰らないとかそんな設定な気がします。つまり関係は良好だと思いますたぶん