渡辺曜研究委員会

渡辺曜について考察するブログです。

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渡辺総研コラム⑬:「他責性と信じる心~目視不在の10人教~」

渡辺総研が最近考えていることについて述べたコラムです。

1. 他責性が他者性を剥奪する現代社会

君のせい 君のせい 君のせいで私

 

「君のせい」the peggies

作詞・作曲:北澤ゆうほ 編曲:the peggies、川口圭太 より引用

上記フレーズは、2018年10月より放送中のTVアニメ『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』のOP主題歌「君のせい」の一節である。

 

歌詞を見れば一目瞭然ではあるが、この曲は「他責性」について歌っている*1。他責性とはつまり、「あいつが悪い。自分は悪くない」とする責任回避の心理傾向である。

 

この他責性は現代社会という枠組みを考えるうえで、重要なキーワードになると渡辺総研は考える。他責性の一番のポイントは、他責性が本質的には他者を排斥するものだからである。

私たちが世界を認識するとき、私という存在が、その主観性の中において世界を認識する。言い換えれば、私たちは己が主観性の枠組みの外から世界を認識することができない。世界は私を起点として、その認識の範囲内で補足される。

とすれば私が私を起点に世界を認識するように、他者もまたその他者を起点に世界を認識しているものと推測することはできる。一方で、他者が哲学的ゾンビでないと証明することもできない。その意味において、我々は我々の世界の中での他者と出会うことはできても、本質的な意味においての他者とは出会えないのである。

 

これらの前提を踏まえると、他責性とは他者に責任を押し付けるもの、ではなく、自意識が観測した世界の中に他者を還元する行為であることがわかる。他責性がもたらすのは他者との出会いではなく、他者を自意識世界に還元することである。

 

TVアニメ『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』、略して青豚が「思春期症候群」と呼ばれる、青少年の多感な自意識が彼らの世界に非常識的な変革をもたらすのも、こうした自意識が世界認識に占めるウェイトが多いことを反映しているのだろう。

 

ちなみに桜島麻衣は渡辺総研の好みに合致するところも見受けられるが、常勝ヒロインではない。

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2. Aqours 4thライブに参加してきました

「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 4th LoveLive! ~Sailing to the Sunshine~」が2018年11月17日(土)、18日(日)に2daysで開催されました。

渡辺総研はキャラ・声優分離で知られる大物ラブライバー・ひだまりPさんもライブに参戦すると聞いて、慌てて17日のチケットだけ確保したのですが、今回はお会いできなくて残念でしたね*2

www.hidamarie.net

ライブ感想記事はひだまりPさんのものを読めばいいと思います。声優を注視していなかったひだまりPさんが小宮有紗さんのふとももオタクになっていたのには破顔一笑しました。ひだまりPさんならではの声優評は新たな気づきをもたらしてくれたのでぜひ一読をおすすめします。

感想としては幕間アニメの花丸ちゃん無双が見れなかったのが残念だが、浦の星交響楽団の皆さまのおかげでおつりが返ってきたという印象ですね。オーケストラいいと思います(あとTVアニメシリーズの内容忘れすぎてて、振り返り映像もありがたかったです…)。

 

あとは9人ver.の「想いよひとつになれ」ですね。そういえば渡辺総研は1stライブ見たことがないのでたぶん初めて見た気がします。

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アニメ映像とのシンクロを謳うラブライブが、そこに存在しないはずの梨子(逢田梨香子)を含めて9人で歌うという演出を用いる。あれは強烈ですしめちゃくちゃ面白いですね。1stライブをちゃんと見たことがない渡辺総研ですら現場の雰囲気に飲まれかけましたので、1stライブ2日目を現地で見ていた人はもれなくノックアウトされたものと推察します。

『ラブライブ!サンシャイン!!』はもともと開かれた作品というよりは、少し閉じた枠組みの中で文脈を読み解くようなイメージを持っていたのですが、あれは読み解くどころか文脈に引きずり込まれるような強烈な体験でした。なので渡辺総研は1stライブはこのまま見ないでおこうかなと思います。文脈に捕われると適切な分析ができなくなるおそれがあるので*3

3. 君も10人教なんだよ

4thライブで特筆すべき点として、Aqoursキャストが『ラブライバー』を意図的に「10人目」と呼称していた場面があるかと思います。

10人目とは「Thank you, FRIENDS!!」収録のカップリング曲「No.10」をもとにした表現ですが、どうにも首を傾げてしまいます。

www.wtnbyou.com

まず苛烈なオーディションを勝ち抜き、時には先代と比較され、ついには節目である東京ドームでの公演を成し遂げたAqoursキャスト9人と、スクールカーストに敗れ、1クールごとにアニメアイコンが移り変わり、光る棒切れを振って応援しているだけのオタクが、あたかも同格であるように聞こえる10人目という表現は、やはり違和感をぬぐえないんですね。

これがもし4thライブで素晴らしい楽曲を披露してくださったカトタツこと加藤達也さんや浦の星交響楽団の皆さまであればまったく問題ないですし、納得もしやすいんですがね。

あと1日目にて国木田花丸役の高槻かなこさんが、「『ラブライブ!サンシャイン!!』の輝きを全世界に布教しろ!(超意訳)」みたいなこと言ってましたね。作品の素晴らしさをもっともっと多くの人に知ってもらいたいという趣旨は理解できるのですが、言ってることが宗教家っぽくてそこはちょっとひいてしまいました。

渡辺総研もたまに宗教法人と間違えられるのですが、過度な信仰と輝きコロニアリズムはよくないと思います。

 

という経緯があり、渡辺総研は「10人目」がしまいには「10人教」にしか聞こえなくなってしまいました。そのため正直に言えばあまりいい印象を持っていなかったのですが、最近は思い直すところもあります。

 

渡辺総研はライブ2日目はあいにく参戦できなかったのですが、2日目も参戦した渡辺研究員によると、2日目はWアンコールが起こり、Aqoursキャストが再度登壇、伊波さんがマイクなしでの会場のお礼の言葉を響かせたとかなんとか。

 

渡辺総研は最近は「いかにして人は他者に出会えるのか」というテーマで思考していたので、ライブ時のそうしたファンからの感謝の言葉、キャストからの言葉、偶発性から生まれた交錯というのは、もしかしたら「他者との出会い」まではいかずとも、限りなく漸近することができるのではないかとも思ったりします*4

 

別に言葉じゃなくてもいいんですけど、サイリウムやペンライトは特にわかりやすいと思います。薄暗い会場で、キャストに自分の好きや想いを視覚的に伝えられるのはやはり光です。9色のいずれかの光やその動きで自分の想いを託すわけです。

 

これらはあくまで1例であって、たとえば作曲者にファン有志で感想本を送ったりですとか、ライブ会場でファンの一体感がキャストを感動させたりですとか、おそらく渡辺総研が知らないところでも自分なりの輝きを放っているファンがいると思うんですね。

なので渡辺総研は10人目は名乗りませんし、10人目という表現は受け入れがたいですが、もしAqoursから輝きを受け取って、自分が10人目だと思うのであればそれはもう10人目ということでいいんじゃないかと思います。

 

Aqoursから輝きという名のMIRAI TICKETを受け取って、想いを一つにして、素敵なWONDERFUL STORISを歩んでいただければいいんじゃないかと思います(DJ警備員波感)。

4. その他諸連絡

5. 反省会

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渡辺総研も渡辺曜の探求にそれなりの時間を割いてきたわけですが、最近はなんかわかった気になってたんだなあと反省しました。

劇場版の予告映像で渡辺曜がなんか知らないイケメンキャラと話している場面を見ても、まったく気にならないくらいには関心が低下しているのですが、それをもとに「渡辺曜は死んでしまった!」と嘆くのはやはり他責性にはなってしまうんですね。

劇場版が終わっても『ラブライブ!サンシャイン!!』はもう少し続きそうなので渡辺曜ないしは常勝ヒロイン論考を前進させたいなあと決意を新たにしたのでした。

*1:この曲はthe peggiesのボーカル北澤ゆうほが、メインヒロイン桜島麻衣の心情をもとに書き下ろした曲であると明かしている。よって、正確には桜島麻衣の不器用で複雑な乙女心を赤裸々に表現したものとする解釈が妥当であろう。

「君のせい」は麻衣ちゃんに気持ちを寄せて歌詞を書きました。
麻衣ちゃんと咲太の縮まっているようで縮まっていないような絶妙な距離感を描きたいなと思いました。

the peggies「青春ブタ野郎」OP書き下ろし、11月にニューシングルとして発表(動画あり) - 音楽ナタリー〉より

 

*2:補足:渡辺総研メンバーにおいて、私は17日しか行かなかったのですが、Rから始まる研究員は2日間とも参戦したらしいです。

*3:1stライブも観るべき価値のある素晴らしいものなのだと思います。渡辺総研は性格がひねくれてる&職業柄見ないだけであって。悪しからず

*4:ただしフォームフィンガーくんは除く