渡辺曜研究委員会

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渡辺曜を再考する⑩:「渡辺曜の〈幼馴染性〉~渡辺曜は負けヒロインなのか?~」

渡辺曜を再考する⑩:「渡辺曜の〈幼馴染性〉~渡辺曜は負けヒロインなのか?~」

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今回は渡辺曜の〈幼馴染〉という特性に注目した考察記事になります。

 

*ちょっぴり第10話「シャイ煮はじめました」・第11話「友情ヨーソロー」への言及があります。本編未視聴の方はネタバレ注意です。*赤字は2016年11月12日に追記しました。【2016年11月12日・追記】

目次:渡辺曜を再考する⑩:「渡辺曜の〈幼馴染性〉~渡辺曜は負けヒロインなのか?~」

①幼馴染の5か条

②負けヒロインとはなにか

③渡辺曜の光と影

④幼馴染至上主義のアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!

⑤総括またはコメント

⑥渡辺研究庫:資料file-27「Twitter8月24日~25日までまとめ」

幼馴染の5か条

そもそも"幼馴染"の定義とはなんでしょうか? ニコニコ大百科によれば、

幼馴染(おさななじみ)とは、幼少期の顔馴染みの事。子供の頃一緒に遊んでいた友達・親友の事。
「幼馴染み」・「幼なじみ」と表記する事もある。

http://dic.nicovideo.jp/a/%E5%B9%BC%E9%A6%B4%E6%9F%93〉より

とありますが、これではよくわかりません。そもそも日本の創作活動における「幼馴染」とは、様々なお約束などと共に使い古されてきた設定の一つであり、一般的な幼馴染の定義からはその本質をとらえることはできません。

 

本来ならば、「創作活動に用いられる幼馴染」という単語の意味・用法の移り変わりから見ていくべきなのでしょうが、ここではそこに費やす時間はありませんので、恐縮ではありますが筆者の考える幼馴染の要件というものを書き出してみました。

≪幼馴染五か条≫

主人公への深い理解(話さずともわかる)

主人公への無償の献身

主人公の傍に寄り添う

ポッと出のヒロインに敗北

怒って主人公の進むべき道を正してあげる

 今回はこれをもとに渡辺曜の〈幼馴染性〉について考えていきます。

主人公への深い理解(話さずともわかる)

これは渡辺曜は当てはまるでしょう。第3話「ファーストステップ」において志満姉との会話の中で「飽きっぽいんじゃなくて、中途半端が嫌いなんですよ」と千歌への深い理解を示しています。

 

幼馴染として長い時間を共に過ごしてきたからこそ、千歌の様々な部分を理解できるのでしょう。もっとも、回を追うごとにこれを疑問視する描写が置かれていることも確かです。

 

主人公への無償の献身

同じくこれも当てはまります。幼馴染のためにスクールアイドル部に入部し、衣装づくりからダンスのフォームの確認など、渡辺曜のAqoursでの貢献は測り知れません。

 

正確にはAqourというよりも「高海千歌」のため、あるいは「高海千歌と共に行動する自分自身」のため、とも解釈できますが、そうした事実は変わりません。

 

 主人公の傍に寄り添う

言うまでもないので省略です。

 

ただ念のため一応根拠を提示すると、第1話「輝きたい!!」において渡辺曜が高海千歌の部屋に滞在している描写があります。

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しかしこのシーンはのちに振り返ってみるとおかしな点があります。渡辺曜と高海千歌の家はバスまたは車がなければ行き来できない距離にあるにもかかわらず、渡辺曜は学校が始まる前の時間にわざわざ千歌の家を訪れていたのです。

 

新学期の初めにわざわざ幼馴染の家に寄る(おそらく早朝からバスで)渡辺曜、あるいはそれを普通の光景として受容する千歌、二人がいつも行動を共にしていることのなによりの証左です。

 

よって渡辺曜は高海千歌に寄り添っているといえます。

 

ポッと出のヒロインに敗北

これは誤解を招く表現かもしれませんので説明しますと、上記の幼馴染の要件というものは「主人公(男の子)と幼馴染(女の子)」という想定のもとに書かれたものです。

 

つまり「幼馴染(女の子)は献身的に主人公に尽くすものの、主人公(男の子)は別の女の子(第三者)と恋仲になってしまう」というある種のお約束を反映したものです。では渡辺曜はどうでしょうか?

 

ラブライブ!サンシャイン!!』においては「高海千歌(主人公)と渡辺曜(幼馴染)のもとに、桜内梨子(転校生・第三者)やってくる」ほか、高海千歌と桜内梨子の二人だけの会話シーン(そして心的距離が近づく)という描写が毎回設けられています。

 

これは高海千歌の一番の理解者であった渡辺曜が、そのポジションを桜内梨子に奪取されていることを意味し、その意味で「ポッと出のヒロインに敗北」というルートを辿っていることを示唆しているといえるのではないでしょうか。よって半分は当てはまっているといえるかもしれません。

 

怒って主人公の進むべき道を正してあげる

そして最後の要素です。結論から言うと、渡辺総研の考察として「渡辺曜は高海千歌に従うことはあっても、その方向性を正すことはできない」という仮説を立てていました。つまり渡辺曜にこの項目は当てはまらないということです。

 

これは過去記事においても言及してきましたし、第8話「くやしくないの?」でも「千歌の本心に踏み込めない渡辺曜」という形で描写されてきました。

wtnbyou.hatenablog.com

しかし、ネタバレになるためここでは控えますが、第11話において(サブタイトルからして渡辺曜個人回を思わせる)、渡辺曜がこの項目を満たす可能性が出てきました。仮にこの項目を満たすとすれば、筆者が考える「幼馴染の要件」を全て網羅し、「千歌と真の意味での幼馴染(親友)になれる」かもしれません。

追記:第11話「友情ヨーソロー」にて渡辺曜は己の本心を吐露する描写がありました。しかしそれは鞠莉・梨子という第三者を通じた行為であり、依然として千歌と正面から向き合うという段階までには及んでいません。アニメの第二期があるとすれば、このあたりも描かれることになるかもしれません。【2016年11月12日・追記 

さて、〈幼馴染の5か条〉と書きましたが、それと重複する要素とみなされる風潮のある”負けヒロイン”についても見ていきましょう。

 

負けヒロインとはなにか

負けヒロイン」という言葉はネットスラングであり明確な定義は存在しないのですが、大まかには「ギャルゲーなどにおいて主人公に選ばれなかったヒロイン」のことを指します。関連用語として「滑り台」といわれることもあります。「滑り台」はアニメ『ましろ色シンフォニー』が元ネタとされています。ここではどちらも同じ意味の用語としてみなします。

anibu.jp

 では「負けヒロイン」の要件とはなんなのでしょうか。以下に言及がありましたので引用します。

負け確ヒロインの特徴wwwww
1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/01(木) 18:57:42.71 id:gQbYpjTC0.net[1/14]
性格がいい
主人公のことをくん付けちゃん付け
眼鏡
おだやか
幼馴染み
他ヒロインよりも早く告白する
他ヒロインに宣戦布告しちゃう
最初から主人公に惚れている
主人公から大切な存在と思われてる
主人公のファーストキスを奪う
料理が得意

これ3つ以上当てはまったら百パーセント勝てない

負け確ヒロインの特徴wwwww〈http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1420106262/〉より

 この定義が正しいと仮定した場合、渡辺曜は「性格がいい」「主人公のことをくん付けちゃん付け」「おだやか」「幼馴染み」「料理が得意(*第10話「シャイ煮はじめました」で判明しました)」などが当てはまりそうです。

追記:第11話「友情ヨーソロー」にて「眼鏡」が追加されたほか、アニメ全話数などを総合してみても「主人公から大切な存在と思われてる」という項目も満たしているものと思われます。このことから渡辺曜は「負けヒロイン要素」多く兼ね備えているという仮説が、より現実味を帯びて来ました。【2016年11月12日・追記

 これは主人公(男の子)とヒロイン(女の子)という前提なので、一概にあてはめられないのですが、「渡辺曜は負けヒロインに連想される要素の多くを兼ね備えている」ということはできそうです。

渡辺曜の光と影

渡辺曜が負けヒロインかどうかはここでは断定できません。しかしアニメ本編において、渡辺曜が「完璧超人として描かれている」あるいは「負の部分がまったく描かれていない」ということは言えると思います。

 

第10話「シャイ煮はじめました」においても、渡辺曜は「料理のアレンジが得意」という新たな特技が判明し、一キャラが持つものとしてはすさまじいスペックの高さが改めて示されました。

 

筆者は過去記事においても、「渡辺曜はその完璧さのみを描かれることで、人間的弱さを視聴者が見いだそうとする力学が働いている」と指摘してきました。

wtnbyou.hatenablog.com

 今回の第10話では改めてその説が補強される形となりました。いうなれば、アニメにおいては渡辺曜の「光」の部分しか描かれないのです。光があるところには必然的に影が生まれる。他のキャラが劇中で影(=負の部分や弱さ)を描かれているのに対して、渡辺曜は視聴者によってアニメの外から弱さを見出すという図式(”ようちか”など)が、根本的に異なる点といえるでしょう。

 

しかし今回の話で、この指摘が製作側による意図的なものである可能性が出てきました。もしかするとこうした構造的な仕組みが生かされるのが次回の第11話「友情ヨーソロー」なのかもしれません。

追記:第11話「友情ヨーソロー」では渡辺曜の弱さ、つまり「自らの感情を内に溜め込んでしまう」という描写がなされました。【2016年11月12日・追記

幼馴染至上主義のアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』 

ここまで渡辺曜に限って話を展開してきましたが、実は『ラブライブ!サンシャイン!!』というアニメそのものが幼馴染至上主義であることがわかります。

 

一年生では国木田花丸と津島善子は幼稚園が一緒の幼馴染ということですし(第1話「輝きたい!!」より)、三年生に至っては3人とも小学校(?)からの幼馴染であることがうかがえます(第9話「未熟DREAMER」より)。まるで幼馴染であれば、ずっと一緒に過ごすことは不思議ではないといわんばかりに、幼馴染という関係性が氾濫しています。

 

これは内浦という一つの小さなコミュニティ、常に互いが顔見知りというような、舞台設定を考慮した上での設定といえるかもしれません。少なくとも『ラブライブ!』無印において主人公の「ほのか」と「ことり」・「うみ」の3人のみが幼馴染として描かれていた前作とは明らかに異なる点でしょう。

 

物語としては内浦というある種の閉塞した土地・人間関係の中で、現地から見れば異邦人である「桜内梨子」が物語のキーとなるのは、メタ的に見れば当たり前のことではあります。幼馴染至上主義と書きましたが、正確にはそうした「都市ー地方」という性質の違いを反映した結果なのではないかと読み取ることもできます。

総括またはコメント

 今回の考察では以下のことを示しました。

 ・渡辺曜は〈幼馴染五か条〉の多くを満たしているほか「怒って主人公の進むべき道を正してあげる」という項目も、物語に関わる要素として実行される可能性がある

・渡辺曜は負けヒロインに連想される要素の多くを兼ね備えている

・「渡辺曜はその完璧さのみを描かれることで、人間的弱さを視聴者が見いだそうとする力学が働く」という仮説の再補強

・『ラブライブ!サンシャイン!!』の幼馴染という設定の頻出は、内浦という地方の要素を反映している可能性がある

 ここからは個人的な感想になってしまいますが、第10話はギャグとシリアスの塩梅がとてもよく、一視聴者としても楽しめました。三年生組はドラマパートのノリが返ってきたという印象でしたが、アニメ組の人たちは少し戸惑ってしまうかもしれませんね。

 

それと渡辺曜についてですが、ネタバレしない程度に筆者の感想を述べると次のようになります。 

はい、というわけで9人でワイワイしながらも、梨子ちゃんの行方が気になりつつも、渡辺曜は「恋になりたいAQUARIUM」ルートに入ってしまうのか?といった様々な要素で楽しめた第10話でした。

 

P.S. りこちゃんのくだりが来るのはびっくり。なかなか展開予測が当たらないのでとても楽しいです。

 

渡辺研究庫:資料file-27「Twitter8月24日~25日までまとめ」

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2016年8月24日~25日までの「渡辺曜」関連ツイートのまとめです。